名古屋高等裁判所金沢支部 昭和28年(う)320号 判決
原判決が理由第一の判示事実の認定に援用している「裁判官の米山静に対する尋問調書」を検すると、同調書はその冒頭において「被告人福島礼一に対する詐欺横領被告事件について昭和二十七年一月十二日金沢地方裁判所小松支部で裁判官Aは裁判所書記官補C立会の上証人に対し次の通り尋問した」旨記載してその尋問の結果を録取してある末尾に裁判官「B」の署名押印があつて前記裁判官「A」の署名押印がないのである。このように証人を取調べた裁判官の氏名の表記と調書の末尾に署名押印した裁判官の氏名とが衝突矛盾する場合の証人尋問調書の無効であることは論を待たないところであるから同調書を事実認定の重要な証拠に採用した原審の行為は違法を免れない。